起業手続きが最短72時間に? 定款作成ツール導入で、スタートアップがもっと身近に!

「いつかは起業してみたい」と思っている方も最近は徐々に増えてきているのではないでしょうか?しかし、実際に行動に移すとなると、様々な手続きや準備が必要で、なかなか一歩を踏み出せないという方もいるかもしれません。特に、会社設立時に必ず必要となる定款(ていかん)の作成や認証は、複雑で時間もかかり、起業のハードルの一つとなっていました。
しかし、朗報です!2025年3月3日から、定款認証の手続きが大幅にスピードアップし、認証プロセスが48時間以内で完了するケースも見込まれています。さらに、定款認証と合わせた設立登記も、必要な条件を満たせば原則72時間以内に完了する仕組みが導入されました。これにより、従来の認証および登記にかかる手続き全体の迅速化が実現され、起業家にとって大きなチャンスとなるでしょう。
定款認証と設立登記のプロセスと処理時間の違い
まず、定款と定款認証について簡単にご説明します。
定款とは、会社の目的や組織、運営方法など、基本的なルールを定めた重要な書類で、会社設立時に必ず作成する必要があります。定款認証は、作成された定款が法律に則っているかを公証人が確認し認証する手続きです。一方、設立登記は、認証済みの定款とともに必要書類を法務局へ提出し、会社の設立を正式に登録するプロセスです。
今回の改革では、認証プロセスと登記プロセスにそれぞれ異なる迅速化の取り組みがなされています。具体的には:
- 定款認証の迅速化:従来は1〜2週間かかっていた認証手続きが、最短で48時間以内に完了するケースが見込まれています。ただし、認証を受けるための「48時間特別処理」の運用もあり、認証プロセス自体は状況に応じた柔軟な対応が可能です。
- 設立登記の迅速化:認証後、登記申請をオンラインで行い、添付書面の電子提出や電子納付などの条件を満たすことで、原則72時間以内に登記手続きが完了する仕組みとなっています。なお、登記においては、定款認証後の手続きや書類の送信方法など、独自の条件が求められます。
このように、定款認証と設立登記はそれぞれ異なるプロセスと条件を持ちますが、全体としては認証と登記を一体化することで、起業家が会社設立にかかる時間と労力を大幅に削減できるよう工夫されています。
なぜ定款認証の迅速化が必要なのか
これまでの定款認証の手続きでは、複数のステップと関係機関との連携が必要であったため、起業までのプロセスが長引く原因となっていました。認証の迅速化により、
- 起業準備の煩雑さが軽減: 公証役場に出向く必要がなくなり、オンラインでの認証や登記申請が可能となります。
- 市場投入のスピードアップ: 起業家は、ビジネスチャンスを逃さず、迅速に事業を開始できるようになります。
さらに、全体の設立手続きが72時間以内で完了する仕組みにより、従来の長期にわたる手続きと比べ、企業設立までのスピードが大幅に向上します。
定款作成支援ツールとオンライン手続きの推進
今回の改革では、定款作成支援ツールの導入が大きな役割を果たしています。利用者は、ツール上で質問に回答するだけで、法的要件を満たした定款案を簡単に作成できるようになりました。さらに、オンラインでの本人確認や電子提出が推進されることで、物理的な書類のやり取りが不要になり、全体の手続きが一層迅速化されます。
なお、登記申請においては、添付書面がすべて電子データで作成され、申請書情報とともにオンライン送信される必要があります。また、登録免許税の電子納付も必須となるため、これらの条件を遵守することで、全体のプロセスがスムーズに進みます。
スタートアップ支援へのインパクト
今回の定款認証と設立登記の迅速化は、単なる手続きの短縮にとどまらず、スタートアップの設立環境を大きく改善します。迅速な手続きにより、起業家は時間と労力を事業の成長に集中できるほか、従来の手続きに伴う煩雑さや不安を大幅に軽減できます。
また、利用者からの意見や要望を反映し、定款作成支援ツールやウェブ会議による認証手続きの改善が進められているため、今後さらなるサービスの向上も期待されます。
まとめ
今回の改革は、認証と登記のそれぞれのプロセスの迅速化と、全体としての72時間原則の導入によって、起業家が会社設立にかかる手間と時間を大幅に削減することを目指しています。認証プロセスと登記プロセスそれぞれの違いや条件を理解することで、起業準備の全体像がより明確になり、安心して事業をスタートできる環境が整えられたと言えるでしょう。
起業への第一歩として、ぜひこの機会に新たな定款認証・登記手続きの仕組みをご活用いただき、迅速な事業開始を実現してください。
脚注
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