【起業家必見】起業するなら法人設立か個人事業か
公開日 2019年7月17日 最終更新日 2024年7月26日
こんにちは、名古屋相創業融資支援オフィス@本山の佐治です。
よくお客様から「これから事業をやろうと考えているけど、起業するなら個人事業で始めるか法人設立して始めるかどちらがよいですか?」質問を受けます。
たとえば申告を例にとると、個人経営にせよ法人経営にせよ経営者にとっては絶対に必要です。
会社の財務や経営に関わる大切なことなので、しっかりポイントを押さえておくべきです。
しかし同じ事業を経営するにしても、法人と個人事業では確定申告の仕方は全然違います。
最終的に税理士などの専門家へ依頼するとしても、税金のことを知っているのと知らないのでは経営のスキルが大きな差が出ます。
これから起業する人は売上や利益の予測によって法人にするか、個人事業スタートするか、起業の選択肢が変わります。
この記事では起業家支援の税理士が、
起業するなら法人設立か個人事業主かについてそれぞれのメリットデメリットを話していきます。
個人事業のメリット
個人事業のメリットは何といってもスタートのしやすさです。
法人のように設立にかかる時間やお金も必要なく、税務署へ開業届を出してサクッと起業できるのが個人事業のメリットです。
法人設立して事業を始める場合、定款作成や登記申請など専門的な手続きが多く起業するにはかなりハードルが高いので、専門家に依頼することをおすすめします。
例えば株式会社を設立する場合、定款認証、印紙代、登録免許税など少なくとも25万円くらいは必要で、司法書士や行政書士の専門家に手続きを依頼するとその手数料も発生します。
さらに、法人は原則、社会保険への加入が必要で、法人で起業した場合、金銭的な負担が個人事業に比べてとっても大きいです。
なので、なるべく費用をかけずに起業したいと考えている人は個人事業から始めるのがよいでしょう。
そしてある程度売上や利益が軌道にのったところで、法人へ切り替えることもアリです。
個人事業なら、売上を予測し大きな利益が見込めない場合、税金を納めなくていい場合があり、リスク回避しやすいというメリットもあります。
法人化のメリット
「法人のメリットって何ですか!?」って聞かれますが、それは個人事業と比べた社会的信用の高さです。
お客様の中には、「取引先から今後取引したいので、法人化してほしい」と言われて、個人事業から法人へ切り替える人もいます。
世間的には個人事業より法人のほうが信頼される傾向があり、取引や広告においても信用度が増します。
経営の面でも資金調達や借入などでは法人が有利ですし、節税の面でもメリットがあります。
所得税と法人税を比較すると、法人税は累進率が低く、保険料を経費できたり、赤字の繰越期間が個人事業より長く、節税の選択肢は個人より法人の方が多いです。
個人事業の場合税金は、基本的に売上から経費を差し引いた所得に対して、課税されるので、所得が増えるほど税率は高くなり、最高税率はなんと所得税と住民税を合わせて55%になります。
利益の半分以上が税金で消える計算ですね。
いっぽうで、法人は利益が赤字でも最低限税金を支払う必要がありますが、経営が黒字になったときは節税方法がたくさんあり、利益や法人税を押さえることができます。
税金の面以外でも個人事業と法人ではさまざま違いがあり、それぞれのメリットとデメリットを考えて、どちらで起業するのが良いのか考えることをおすすめします。
個人事業の確定申告
個人事業の確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの1年間の所得をもとに税金を計算して税務署に税金を納める制度です。
売上、仕入れや経費などを帳簿へ記録し、それらの金額を申告します。
所得とはざっくり、売上から必要経費引いた利益のことを言います。
たとえば、500万円の売上に対して300万円の経費がかかったら、所得は200万円です。
個人事業主が支払う税金は、所得税、消費税、市県民税、事業税などです。
所得税、消費税、市県民税、事業税はそれぞれ計算方法は違いますが、ざっくり所得に対する税金です。
消費税の納税義務は、2年前の年間売上または1,000万円を超えると納税義務が発生します。
※2023年10月から施行されたインボイス制度に伴って課税事業者になった場合は消費税の納税義務が発生するようになりました。(2024年7月追記)
それ以外に国民健康保険なども所得をベースに計算されます。
自ら申告が必要な税金・・・所得税、消費税
申告が不要な税金・・・市県民税、国民健康保険、事業税
確定申告の期限は、次のようになります。
たとえば2019年分の確定申告は、
所得税・・・2020年2月16日~3月15日
消費税・・・2020年1月1日~3月31日
個人事業は法人と比べると確定申告の仕方がとっても簡単です。
しかし、売上が1,000万円超えてくると、法人設立して法人成りを検討する人もいます。
法人成りすると、最低限均等割という税金を支払う必要がありますが、利益が出ている場合、節税の選択肢がたくさんあります。
個人事業と法人ではそれぞれ良い面悪い面があるので、どちらで起業するのが自分に合っているのか考えて、よくわからない場合は税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
法人の確定申告
法人の確定申告は作成する書類がたくさんあり、書類の内容も個人事業の確定申告より断然複雑です。
申告書で計算する税金の種類も多く、それぞれ計算方法も異なるので申告書を作るときはミスなどないように注意してください。
さらに、年によって法人税が軽減される特例があるので、見落とさないようにしましょう。
法人の決算と申告の流れは簡単には次のようになります。
1.帳簿や伝票を整理する
2.会計アプリにデータ入力する
3.決算書を作成する
4.決算書をもとに申告書作成、納税する
5.帳簿や申告書などを保管する
決算書を作成するためには、まず、領収書や請求書、通帳のコピーなど帳簿や伝票を整理して、その情報を会計アプリに入力して会計データを作成します。
決算書や申告書には一定期間保管義務があるので、作成した書類は提出前にコピーし保管しておくことをおすすめします。
大まかな流れは個人事業とあまり変わらないのですが、その内容が大きく違います。
では、次に法人が作成する書類と税金の種類について詳しく見ていきます。
法人が作成する書類と税金の種類
総勘定元帳・・・売上や仕入などすべての取引を勘定科目ごとに記録した書類
決算報告書・・・貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書など
法人事業概況説明書・・・決算書を集約した書類
法人税申告書・・・法人税申告をする書類
消費税申告書・・・消費税申告する書類
地方税申告書・・・法人住民税、法人事業税申告に必要な書類
法人納める税金の種類は次の5つです。それぞれ書類の提出先が異なるので注意しましょう。
申告・納付期限は事業年度終了の日から原則2か月以内です。
法人税・・・税務署に申告
消費税・・・税務署に申告
都道府県民税・・・都道府県税事務所に申告
市町村民税・・・市町村役場申告
法人事業税・・・都道府県税事務所に申告
東京都23区内の法人の場合、市町村民税はありませんが、その分も合わせて都税事務所へ納付する制度になっています。
法人の確定申告の流れ
<決算の整理>
会計アプリに入力したデータに対して、決算締めの処理をします。
<消費税の申告書を作成>
決算締めを行った数字をもとに消費税の計算をします。
<勘定科目の内訳書作成>
預金や債権債務などの情報を詳細に網羅していきます。
<法人税の申告書を作成>
決算書の当期利益をもとに法人税の計算をします。法人税の計算ができたら、法人事業税や法人住民税の計算をします。
中小企業者の特例
ある一定の要件を、法人税を計算するときに税金が減額できる大変お得な制度です。
法人税や消費税などいろんな税目に対して設定されています。
それぞれの特例は法律で決められていますが、内容によってその年限りで終わるものや、事前に書類提出が必要なものがあるので注意が必要です。
詳しい適用要件などについては国税庁のホームページをチェックするか税理士へ相談することをおすすめします。
まとめ
個人事業と法人の確定申告を比べると個人事業の確定申告は、決して簡単ではありませんが、頑張ればなんとか自分でなりそうです。
しかし、法人の確定申告は計算方法や書類の作成方法が複雑で自分で手続きするにはかなりハードルが高くなります。
それに1年間の決算に関する重要な手続きなので、見落としやミスがあると時間はかかるし、知らないうちにたくさんの税金を払ってしまうこともあります。
税理士に依頼すると費用はかかりますが、アドバイスがもらえ、納税者にとって一番有利な方法で申告書を作成してくれるので、自分で申告するのに自信がない人は税理士へ依頼することをおすすめします。
個人事業で始めるか法人で始めるかについては、起業時にかかる費用はもちろんのこと、売上や利益など業種によって特性があり、いろいろな面から検討して起業することをおすすめします。
少しでも起業に関して不明な点や心配があれば、お金と経営の専門家であるある名古屋創業融資支援オフィス@本山に相談しましょう。