【2025年4月開始】金融機関も見る!クレジット・ガイダンスが創業融資に与える影響と今すぐできる対策

「そろそろ自分の事業を始めたい」「日本政策金融公庫で創業融資を受けたい」。そんな熱い想いを抱いているあなた。でも、ちょっと待ってください。「自分の信用情報って、融資審査でどう見られるんだろう…」そんな不安はありませんか? 実は、2024年11月に始まったCICの新サービス「クレジット・ガイダンス」が、2025年4月1日から、いよいよ銀行などの金融機関にも提供されるようになりました。 これは、あなたの信用力がこれまで以上に客観的な「スコア」として見られる可能性があるということです。
仕組みを正しく理解すれば、過度に恐れる必要はありません。むしろ、これはご自身の信用状態を客観的に把握し、将来の資金調達に向けて今から準備を始める絶好のチャンスなのです。
この記事では、
- クレジット・ガイダンスが金融機関に提供されるようになったことの意味
- 創業融資(特に日本政策金融公庫以外も含む)への影響
- スコアと同じくらい重要な「算出理由」とは何か
- あなたが今すぐできること(信用情報の確認方法)
などを、分かりやすく解説していきます。創業という大きな一歩を踏み出すために、まずはご自身の「信用力」に向き合ってみませんか?
(※クレジット・ガイダンスの基本的な内容については、以前の記事『新サービス「クレジット・ガイダンス」で信用力をチェック!創業融資への影響と対策』も参考にしてください。)
クレジット・ガイダンスとは? もう一度おさらい
まず、クレジット・ガイダンスについて簡単におさらいしましょう。これは、国が指定する信用情報機関であるCIC(シー・アイ・シー)が提供する新しいサービスです。CICは、クレジットカードやローンの利用履歴(いつ、どこで、いくら借りて、ちゃんと返しているか等)の情報を集めて管理している会社です。
クレジット・ガイダンスは、CICが持っているこれらの情報をもとに、あなたの信用力を200点から800点の範囲の「スコア(指数)」として数値化したものです。大切なのは、このスコアは年齢、性別、年収、職業といった個人の属性情報(どこに住んでいるか、どこで働いているか等)を一切使わず、あくまでクレジットカードやローンの利用状況といった客観的な取引の事実だけから計算される点です。

具体的には、主に以下の5つの要素の組み合わせでスコアが決まります。
- 支払状況(36.5%):請求に対してきちんと支払いがされているか。延滞はないか。
- 残高(31.8%):借入れの残高がどのくらいあるか。多すぎないか。
- 契約数(13.6%):クレジットカードやローンなどの契約をいくつ持っているか。
- 契約期間(13.6%):契約をどれくらいの期間、継続して利用しているか。
- 申込件数(4.5%):最近、新しいクレジットカードやローンにどのくらい申し込んでいるか。
これらの割合を見ると、「支払状況」と「残高」がスコアに大きな影響を与えていることがわかりますね。
【大きな変化】2025年4月から金融機関もスコアを参照可能に
これまでのクレジット・ガイダンスは、私たち消費者自身が自分の情報を確認するために開示請求をする場合にのみ提供されていました。しかし、2025年4月1日からは、CICに加盟しているクレジット会社(銀行、クレジットカード会社、信販会社、消費者金融など)も、審査などの際にこのクレジット・ガイダンス情報を参照できるようになったのです。これが今回の最も大きな変化点です。
つまり、あなたが融資やクレジットカードを申し込んだ際、金融機関は従来の信用情報(延滞があるかないか、など)に加えて、この分かりやすい「スコア」と、後述する「算出理由」も審査の参考にする可能性があるということです。創業融資を考えている方にとっては、特に気になる変化と言えるでしょう。
創業融資への影響は? スコアだけで決まるわけではないけれど…
「金融機関にスコアが見られるとなると、スコアが低いと創業融資はもうダメなの?」と心配になるかもしれません。しかし、現時点では「スコアだけで融資の可否が即決まる」わけではないと考えられます。
CIC自身も、クレジット・ガイダンスは「あくまで参考にする情報の一つ」と説明しています。金融機関は、スコアだけでなく、あなたの事業計画、自己資金、面談での印象、そして従来の信用情報などを総合的に見て融資判断を行います。特に日本政策金融公庫の創業融資では、事業への熱意や計画の具体性が非常に重視される傾向は変わらないでしょう。
ただし、注意点もあります。このクレジット・ガイダンスという客観的で分かりやすい指標が登場したことで、金融機関が個人の信用力を評価する際の判断材料が増えたことは事実です。特に、日本政策金融公庫以外の民間の銀行や信用金庫、あるいは事業用のクレジットカードやリース契約などの審査においては、このスコアがより重視される可能性も考えられます。幅広い資金調達の選択肢を持つためには、ご自身のスコアや信用状態を把握しておくことの重要性が増したと言えるでしょう。
スコア以上に注目すべき「算出理由」とは?
クレジット・ガイダンスで提供されるのは、200~800点のスコアだけではありません。「なぜそのスコアになったのか」を示す『算出理由』も最大4つまで一緒に提供される点が非常に重要です。
この算出理由を見れば、あなたの信用力の「どこが評価されているのか(プラス要因)」、そして「どこに改善の余地があるのか(マイナス要因)」が具体的に分かります。
例えば、以下のような理由が示される可能性があります。
- プラス要因の例:
- 「長期間にわたり、お支払いの遅れが見られません。」
- 「複数の契約を適切にご利用いただいています。」
- マイナス要因の例:
- 「お支払いの遅れが複数回発生しています。」
- 「借入残高が比較的多くなっています。」
- 「短期間に複数のお申込みが見られます。」
創業者にとって、この『算出理由』は非常に有益な情報です。なぜなら、漠然と「信用情報が不安だ」と感じるのではなく、「支払いの遅れをなくそう」「使っていないカードを整理して契約数を減らそう」「借入残高を少しでも減らそう」といった、具体的で的を絞った改善アクションにつなげることができるからです。スコアの点数に一喜一憂するだけでなく、この算出理由をしっかりと確認し、改善に活かすことが大切なのです。
自分の「クレジット・ガイダンス」を確認する方法
では、どうすれば自分のスコアと算出理由を確認できるのでしょうか? それは、CICに「情報開示請求」を行うことで可能です。手続きは思ったより簡単ですよ。
主な確認方法:
- インターネット開示:
- 費用: 500円(クレジットカード一括払い)
- 時間: 対応時間内(毎日8:00~21:45)であれば、即時に画面上で確認できます。
- 必要なもの: クレジットカード(手数料決済用)、電話(指定番号へ発信)、パソコンまたはスマートフォン
- 郵送開示:
- 費用: 1,500円(定額小為替証書)
- 時間: 申込書がCICに到着してから約10日で報告書が郵送されます。
- 必要なもの: 申込書(CICウェブサイトからダウンロード)、本人確認書類のコピー、手数料分の定額小為替証書
【重要】開示申込時の注意点
どちらの方法でも、申込手続きの際に「クレジット・ガイダンスの開示を希望する」という項目に必ずチェックを入れる(または選択する)必要があります。これを忘れると、従来の信用情報のみが開示され、スコアと算出理由は確認できませんのでご注意ください。
まずは、ご自身の現在の信用情報を客観的に把握するために、情報開示を試してみてはいかがでしょうか? 創業準備の一環として、早めに取り組むことをおすすめします。
▶ CIC インターネット開示の手続きはこちら
▶ CIC 郵送開示の手続きはこちら
情報開示の際の注意点も知っておこう
情報開示をする際には、いくつか知っておきたい注意点があります。
- スコアが算出されない場合がある: クレジットカードの契約期間が短い(例:6ヶ月未満)場合や、過去に長期延滞などの「異動情報」がある契約のみの場合、電話番号などの情報が古いまま更新されていない場合など、条件によってはスコア(指数)が算出されず、「指数が算出できませんでした」と表示されることがあります。
- 開示情報は慎重に扱う: 開示で得たご自身のクレジット・ガイダンス情報(特にスコアや算出理由)は、非常にプライベートな情報です。不測のトラブルを避けるためにも、安易に他人に共有することは控えましょう。
- オプトアウト(提供停止)制度: どうしても金融機関に自分のスコア情報を提供してほしくない、という場合には、「オプトアウト」という手続きを行うことで、金融機関への提供を停止することも可能です(手数料無料)。ただし、オプトアウトしたことが審査にどう影響するかは現時点では未知数な部分もあります。
まとめ:金融機関への提供開始。今こそ、信用力を把握し準備を!
2025年4月から始まったクレジット会社等へのクレジット・ガイダンス提供は、創業融資を考えるあなたにとって、ご自身の信用力と向き合う良いきっかけとなるはずです。スコアだけで融資が決まるわけではありませんが、客観的な指標として参考にされる可能性は十分にあります。
大切なのは、まずご自身の現状を正確に把握すること。 CICの情報開示を利用して、スコアと、特に重要な「算出理由」を確認しましょう。そして、もし改善すべき点が見つかれば、支払いの遅れをなくす、不要な契約を見直す、借入残高を減らすなど、今日からできる具体的なアクションを起こしていくことが、将来の円滑な資金調達への備えとなります。
創業という夢を実現するため、しっかり準備を進めていきましょう。
FAQ(よくあるご質問)
- Q1: クレジット・ガイダンスのスコアが低いと、創業融資は絶対に受けられないのですか?
- A1: いいえ、スコアだけで融資の可否が即決まるわけではありません。 特に日本政策金融公庫などでは、事業計画の質や将来性、自己資金、面談での評価なども含めて総合的に判断されます。スコアはあくまで参考情報の一つですが、低い場合は算出理由を確認し、改善に努めることが大切です。
- Q2: クレジットカードを一枚も持っていない場合、スコアはどうなりますか?
- A2: クレジット・ガイダンスはCICに登録されているクレジット情報(クレジットカードやローン等の利用履歴)に基づいて算出されます。そのため、CICに情報が全く登録されていない場合(現金主義でクレジット契約が一切ない等)は、スコアを算出するための情報がなく、「指数が算出できませんでした」と表示される可能性が高いです。
- Q3: 自分で情報開示したら、その事実が金融機関に知られて不利になりますか?
- A3: いいえ、あなたがご自身の情報を開示したという事実が、信用情報として登録されたり、金融機関に伝わったりすることはありません。安心して開示請求を行ってください。
- Q4: 金融機関への情報提供を停止する「オプトアウト」をすると、融資審査で不利になりますか?
- A4: オプトアウトしたことが直接的に不利になるかどうかは、現時点では明確には分かっていません。 金融機関によっては、判断材料の一つが得られないことを懸念する可能性もゼロではありません。手続きは可能ですが、その影響については慎重に考える必要があります。
- Q5: 「算出理由」で指摘されたマイナス点は、どうすれば改善できますか?
- A5: 算出理由によって具体的な改善策は異なります。例えば、「支払いの遅れ」が理由であれば、今後は絶対に期日を守るように徹底する。「借入残高が多い」のであれば、繰り上げ返済などで残高を減らす努力をする。「短期間の多重申込」であれば、しばらく新規の申込みを控える、などが考えられます。ご自身の状況に合わせて、できることから着実に取り組むことが重要です。
参考資料
- 指定信用情報機関のCIC 「クレジット・ガイダンス」
URL: https://www.cic.co.jp/credit-guidance/ - 指定信用情報機関のCIC 「信用情報を確認したい方(情報開示とは)」
URL: https://www.cic.co.jp/mydata/index.html
専門家への相談も検討しましょう
ご自身の信用情報の確認や改善、そして創業融資に向けた事業計画の作成など、不安な点や分からないことがある場合は、専門家への相談も有効な手段です。客観的なアドバイスを受けることで、よりスムーズな準備を進めることができます。
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